研究内容

研究内容

物理有機化学・分子設計研究室です。

物理有機化学は、有機化合物の化学構造と反応性や機能性を物理学の手法と精密さで研究する学問分野です。従来の化学式に頼っている有機化学では不十分であった有機化合物の3次元的な立体構造と電子的な特性を、計算、実験、スペクトル分析で明らかにし、新規反応開発、全合成、機能物質の分子設計などを行うことを目的として研究を行っています。

現在、研究テーマとしては、主に下記のものを行っています。

抗酸化物質の合成、測定、予測

ラジカルとは酸化反応を促進する因子であり、体内ではエネルギーが作られるときや、体に紫外線が当たったときなどに発生し、周囲の物質を酸化させます。活性酸素種もラジカルの一種です。
これらは、生活習慣病、糖尿病、アトピー、アレルギーなどに代表される現代病の原因になると考えられています。これを防ぐために、人間の体内ではビタミンCやEなどが活性なラジカルを還元しています。私たちの研究室では、有用な抗酸化物質の探索と合成を行ない、医薬品となる化合物の創製も目指しています。

反応の予測を行うために、立体的な影響を見積もるツールの開発も行っています。

抗酸化能の測定と予測の関連論文

Naganuma, J.; Yamazaki, Y.; Gotoh, H. Evaluation method of steric shielding effect around nitroxide radical reaction center based on molecular volume within a virtual ball. Structural Chemistry 2019.

Ichikawa, K.; Sasada, R.; Chiba, K.; Gotoh, H. Effect of Side Chain Functional Groups on the DPPH Radical Scavenging Activity of Bisabolane-Type Phenols. Antioxidants 2019, 8, 65.

活性酸素を利用した有機合成反応の開発

これまでに広く用いられていた遷移金属触媒を用いない触媒反応の開発を目指した研究を行なっています。有機分子触媒は、水や酸素に安定であり、生成物に金属の残留が無いため毒性が少なく、反応操作が容易などの利点があります。私たちの研究室では、特にTEMPOなどのニトロキシラジカルなどを用いた炭素炭素結合生成反応の開発を目指して研究を行なっています。

有機合成関連論文

Iwasaki, K.; Yudai, Y.; Gotoh, H. Evaluation of Nitroxide Radical Catalyst Activity in C-H Activation Step of the Oxidative Coupling between 9,10-Dihydroacridine and Nitromethane. Asian Journal of Chemistry 2019, 31, 2107–2110.

Tanaka, K.; Gotoh, H. Development of the radical C–O coupling reaction of phenols toward the synthesis of natural products comprising a diaryl ether skeleton. Tetrahedron 2019, 75, 3875–3885.

重合禁止剤、光重合開始剤の開発

2017年4月11日化学工業日報掲載

重合制御機構の解明を目的とし、実験及び計算機実験を手法とした、各モノマー種、配合、反応条件でのキノン誘導体のラジカルとの反応性の評価、生成物の解析を行い、より高性能な重合制御剤の創製を目的に研究をしています。

重合禁止剤、光重合開始剤の関連論文

Takahashi, T.; Ikejiri, Y.; Himori, S.; Gotoh, H. Polymerization inhibition mechanism of 1,4-naphthoquinone by experimentation and DFT calculations. Polymer Journal 2019, 51, 929–934

3Dゲル線量計によるラジカル反応の見える化

放射線によるがん治療は、放射線がまず細胞の70%を占める水分子に作用してラジカルが生じ、そのラジカルが間接的に構成分子(がん細胞や正常細胞)を攻撃する場合が多いです。私達の研究室では、医療用の放射線をゼリー(人体を模擬)に照射し、どのようにラジカルが発生するかを3次元的に可視化するツールの開発を行っています。

3Dゲル線量計によるラジカル反応の見える化の関連論文

Hayashi, K.; Nemoto, M.; Takanashi, T.; Kang, Y.; Togo, H.; Kotoku, J.; Kobayashi, T.; Mihashi, M.; Hayashi, S.; Gotoh, H. Clear micelle gel dosimeter with nanoclay. Journal of Physics Conference Series 2019, 1305, 12040.

Takanashi, T.; Hayashi, K.; Nemoto, M.; Kawamura, H.; Hayashi, S.-I.; Gotoh, H. Cause of cupping artifacts from radiochromic micelle gel dosimeters used in optical CT scanner measurement. Journal of Physics Conference Series 2019, 1305, 12020.

Munehiro YONEHARA, Ryo WAKANA, Kazuhisa SAKAKIBARA, Junichi KOTOKU2, Takanori KOBAYASHI2, Hiroaki GOTOH, Evaluation of Radiochromic Gel Dosimeter and Optical CT Jpn. J. Med. Phys. Vol. 37 No. 2: 117–121 (2017)